年末大掃除の時、併せて本の整理もしていました。その際、段ボールの中で見つけたのが、安部公房の本(新潮文庫)十数冊。
これは懐かしい!と思い、他の本と入れ替えて、再び本棚に戻しました。
それからどうも気になり、年末・年始にかけて彼の代表作「砂の女」を再読してみた次第です。(私が持っている新潮文庫の「砂の女」は、「昭和63年26刷」版です)
予想していたとは言え、原作が昭和37年発行とは思えないほど、今の世界にも通用する内容です。
現在の日本において、作品に出てくる場所などは無さそうですが、作品の本質である人間の「帰属意識」、「疎外感」、「自己肯定感」、「寂寥感」、「独善性」、「階級感」などは、充分に現代に当てはめてみることができます。
いまの生活でこだわっている事や物も、作品の中に出てくる「希望」と同じような事や物なのかもしれないと、ふと思ってしまいました。
また、小説を読んだ後、岸田今日子さん主演の同名映画を再鑑賞。こちらも素晴らしかった。モノクロの世界の中での彼女の妖艶な演技に引きずり込まれました。
再読すればするほど深読み出来そうなので、今後も折りをみて読んでみよう。また、彼の他の作品も再読しようと思います。「壁」とか「箱男」とか「方舟さくら丸」とか…